うつ病はアイデンティティの病気
- 2010年08月30日
- 随想
うつ病が増えています。
日本の中では、もはや国民病といっても過言ではない、深刻な状況です。
うつの原因は何でしょう?
精神医学や心理学の見地からどういう分析がされているかは
詳しく知りませんし、様々な見解があるでしょう。
私の観点からすると、うつ病はアイデンティティの病気です。
アイデンティティ。
自己同一性、と訳されることもありますが、
ひらたくいうと、
「私、誰?」
という問いに対するセルフイメージです。
自分とは何者なのか?
自分はなぜ存在しているのか?
自分の存在意味とは何なのか?
自分は周囲とのどのような関係性の上に存在しているのか?
自分の存在価値を感じられるのはどのような時か?
などの問いに対して、セルフイメージが安定している人は、
アイデンティティが確立されて、心もしっかり安定している人だと思います。
そういう人は、おそらくうつ病にはかかりません。
なぜなら、自分の存在意味、自分が生きる意味がしっかりしていて、
生きる力や生きる喜びも、力強く伸びやかな心の状態を持つことができるからです。
しかし、現代人はアイデンティティが不安定でぐらぐらしている状態です。
表現を変えれば、根なし草状態、
あるいは、根っこが生えていない造花のような状態です。
自分が生きる意味がわからない。
自分が学ぶ意味がわからない。
自分が働く意味がわからない。
自己存在そのものの否定感情。
そして、自己否定の心は、そんな自分を作り出した周囲の環境や他者への
否定的感情を誘発します。
すると、他人や社会へのうらみつらみが増幅していきます。
ネガティブな矢印が自分にも他人にも向かっている状態。
これは、精神的にはなんとも不健康です。
そして、劣等感や疎外感、わかりあえない孤独感が増えて、ふさぎこんでしまいます。
その個人を包み込んでくれる家庭の役割、家族の絆も寸断されてきています。
企業組織が自分のアイデンティティそのもの、という時代はもはや過去になりつつあります。
同様に、地域のネットワークもそうです。
友人同士でも、本音で語り合える関係性をつくることは難しい現代です。
個人でも、友人同士でも、家族でも、企業でも、地域でも、
アイデンティティを安定させられない現代日本社会。
そして、日本という国家に所属している日本人としてのアイデンティティ、
日本人としてのプライドや自尊感情は、周知の通り戦後教育において否定されています。
では地球人としてのアイデンティティで安定するかというと、
リアリティが伴わないイメージの限界もあって、現実的には力を持ちません。
そのような複合的な背景で、アイデンティティクライシスと呼ばれる危機的状況がうまれ、
自己存在の意味、生きる意味が定まらない心は、
複雑で変化の激しい現代社会の中でさらに激しく揺さぶられてしまいます。
本質的にみて、それがうつ病のひとつの根本原因だと思います。
だからこそ、どんなアイデンティティよりも壮大で荘厳な自己存在の意味を
感じられるような、今までにない強烈なアイデンティティの再確立が必要な時代です。
それは言葉をかえるなら、
人間に対する再規定、
人間観そのものの進化、
人間のバージョンアップ、
といってもよいものです。
そしてまったく新しい人間観を確立することの現代的意味は、
脳が認識する錯覚のアイデンティティである「体の自分」以外の、
もうひとつの真実のアイデンティティ、「心の自分」と出会うことです。
その真実の自分とは、宇宙すべてとつながって、
宇宙全てを創造して、宇宙全てを抱擁して、宇宙全てを破壊している、
強烈な力動の意志そのもの、エネルギーそのもの、愛そのものの、本来の自分です。
そのようなアイデンティティの再構築の教育によって、
うつ病が解消されていく道を開いていけたら嬉しいなと思います。


